秋に、ほとんどの私立中学校で実施される「学校説明会」は、本当に知りたい情報を、学校の先生から直接聞くことのできる最も大切な場となります。
また、学校の雰囲気もよくわかり、自分の目で我が子にふさわしい学校か見極める大きなチャンスでもあります。さらに、入試の変更点や、入試問題のヒントなど、絶対に聞き逃せない情報の発表の場となります。
以下、説明会において注意すべきポイントをいくつか挙げておきます。
①第1志望校以外の学校も、可能な限り参加する
第1志望校への思い入れが強いあまり、「他校は眼中にない」という方がときどきいらっしゃいます。しかし、1校しか受験しないということはまずありえませんし、また、だれもが第1志望校に入れるわけでもありません。入試難易度だけで併願校を決めてしまうことのないよう、必ず学校研究を行ってください。(入学後になじめない原因はここに起因する場合が多いです。)
②日時・会場を直接確認する
学校によっては事前に電話予約が必要な場合があります。また、急な日程の変更もないとは言えません。上履き等の持参が必要な場合もあります。必ず事前に学校に連絡を入れて確認してから出かけましょう。
③事前に情報誌などで下調べをしておく
市販のもので結構です。事前に目を通して、あらかじめチェックポイントや質問事項などを決めておきましょう。
④受験日と同じ経路を使い時間を計る
たとえ駐車場があったとしても、マイカーでの参加は好ましいとはいえません。電車・バス等、入試日当日にお子様が使う交通機関を利用しましょう。入試日当日の所要時間の目処や、乗り換え、混雑しそうな場所(切符の買い替えなど)を事前に知っておく必要があります。
⑤少し早めに着くようにする
学校によっては、会場が狭いために、立ち見になったり、別室で放送を聞くことになったりすることも考えられます。また、開始までには、配布される資料に目を通しておきたいものです。ある程度の余裕を持って出かけましょう。(この際、願書=入試要項をご購入なさるのが良いでしょう。)
⑥途中退席やごく個人的な質問は慎む
⑦必ずメモを取る
最初に学校長が、沿革や教育理念などを話す場合がほとんどです。この話が願書に志望理由を書く際や、また面接の時などに役立ちます。
⑧学校の設備だけでなく周りの雰囲気も見えてくる
6年間通うことになるかもしれない学校です。お帰りの際には、立地条件、駅周辺、通学路、商店街の様子なども見ておきましょう。本当に安心できる場所にあるのか、を考えてください。
新6年生はもちろん、新4~5年生にとって、保護者のみなさまにとって、新たなスタートの時です。
そこで今月は、さまざまな学校を知り、お子さまとご家庭に合う学校と出合うために、
説明会を中心に学校を知る機会についてご紹介します。
情報誌や各種サイトなど、居ながらにして学校を知る方法はたくさんあります。
情報収集の入口としてはたいへん有効ですが、気になる学校には、やはり直接お出かけください。
ご自分の感覚でキャッチしたものに勝るものはありません。
また、気になる学校、好きな学校というのはご家庭の教育方針と一致するところがある学校だと思いますので、今一度ご家庭の方針を確認しておくことが大切です。
学校に行く機会としては、学校説明会やオープンスクールなど受験生親子が参加できるものと、体育祭や文化祭、音楽祭など、在校生の活動の様子を見学できるものがあります。
また、説明会は土曜日や祝日に開催されることが多いですが、近年は保護者の方のさまざまなニーズに応える形で、仕事帰りに参加できる夜の説明会や、平日の日中に実施される説明会なども珍しくなくなっています。
そろそろ、各校の説明会や公開行事の年間スケジュールも出はじめますので、まずは気になる学校の説明会日程をチェックして開催回数の少ない学校を洗い出し、優先してスケジュールに組み入れましょう。
その際、注意していただきたいのは予約の要・不要と、対象者の限定があるかどうか(保護者のみ、小6限定など)です。
「気づいたときには予約がいっぱいで、もっと早くから動けばよかった」という先輩保護者の声も少なくありません。
早め早めの行動が肝心です。
また、はじめのうちは合同説明会なども活用して、なるべくたくさんの学校を知ってください。
そうすれば比較材料ができ、よりご家庭の方針に合う学校が見えてくるはずです。
保護者の方に確認していただきたいのは、学校そのものだけではありません。
お子さまが通学することを想定し、公共交通機関を使って通学時間を計り、最寄駅に降り立ったら、通学路を歩きながらその町の風景や行き交う人々の雰囲気を見て、ご家庭やお子さまになじむかどうかを感じ取ることも大切なポイントです。
説明会は通常、校長から教育方針の話、先生方から入試や大学進学実績についての話、また日ごろの教育成果に触れられる在校生の発表などといった流れになっていますが、近年は在校生の保護者や卒業生がナビゲーターを務めたり、オープンスクールのように体験を組み入れたりと、それぞれ趣向を凝らしたものになってきています。
せっかくの機会です。
学校訪問を有意義なものにするために、最低限の準備をしてからお出かけください。
では、事前準備、説明会や公開行事の際のポイント、テーマ別に開催される合同説明会などについて、順を追ってご紹介していきましょう。
学校に行く前に準備する~年間で予定を立てる~
1.ご家庭の教育方針から、お子さまに合う学校の条件を話し合う
まず、お子さまが好きなこと、得意なことをリストアップしてみてください。
そうすると”部活が盛ん””海外体験の機会が多い”など、各校の特徴とお子さまの相性がわかりやすくなります。
また”こういう子に育ってほしい”というご家庭の教育方針を再確認すると、ご家庭が学校に求める優先順位も見えてくるはず。
また、そのメモを説明会に持参すれば、質問したいこともあぶり出されてきます。
ご家庭で話し合うポイント
・お子さまが好きなこと、得意なこと
・6年間でお子さまに学んでほしいこと
・学校教育にご家庭が求めること
2.各校の説明会日程を洗い出し、年間の訪問スケジュールを決める
説明会は10数回開催する学校もあれば、たった1回だけの学校もあります。
気になる学校を見逃さないためにも、はじめに各校の開催予定日を確認し、学校訪問の年間スケジュールを作られることをお勧めします。
一般的には5~6月、9~11月がピークといえますが、入試が近づいた時期に入試体験会を設ける学校も増えているなど、
より具体的な情報が得られる機会も要チェックです。
スケジューリングの注意点
・「6年生」「5年生以下」など、対象学年を設定しているケースもあるので、要注意
・予約制の学校も増えているので、早めの行動を
3.お子さまが参加できる機会をチェックし、予定に組み入れる
説明会以外にもオープンスクールや公開授業など、学校を知る機会はたくさんあります。
お子さまが参加できる授業体験やクラブ体験、また在校生の様子を垣間見れる文化祭や体育祭、音楽祭なども。
このような機会には、できればお子さまが5年生までに参加することをお勧めします。
お子さま自身、志望校として意識でき、学習へのモチベーションもアップすると思います。
学校訪問に持参したいもの
・ノートや筆記用具
・資料を持ち帰る袋
・スリッパ(学校によるので、注意事項を確認)
・録音機器やカメラ(許可されているか事前に確認を)
4.情報誌や学校HP,サイトなどで訪問する学校の下調べをしておく
学校を訪問する前に、その学校の下調べをしておくことは必須です。
とくに、ご家庭が重要視していることについて、どう書かれているかをチェックしてください。
書かれていない場合は質問したいポイントになります。
基本的なことを頭に入れておけば、学校に行ってからより突っ込んだ見方ができるはずです。
何を聞けばよいのか不安がある場合は、事前に塾の先生にアドバイスをもらうのも一法です。
訪問する学校の下調べは大事!
近年は入試やカリキュラム、クラスやコース編成などで大改革に挑む学校が増えていますが、それに関連して重要なことがあります。
改革の内容については説明会で話されますが、説明会と並行して受験生向けに入試体験会を実施する学校も少なくありません。
たとえば工学院大学附属では「思考力テスト体験会」を、佼成学園女子では「PISA型入試問題学習会」を開催しています。
興味をひかれる学校については、そのような機会も逃さないようチェックしてください。
それと同時に、改革に関連して聞き慣れない新しいキーワードも続々登場しています。
それらについても、ざっとでいいので下調べをしておくと、疑問や質問したいことが出てくると思います。
また、お子さまが5年生以下の方にお勧めしたいのは、気になる学校の説明会には2年連続で参加されることです。
そうすれば改革などの進展状況もわかり、学校の姿勢もより明確に見えてくるはずです。
学校に行く~学校の何を見ればいいのか~
<説明会は、ご家庭が最初に学校と出合う場所>
一生の友達と出会えるのは中高時代が多いものです。
学習環境はもちろん大切ですが、お子さまにとって、人間形成の面でも充実した6年間を送ることができる学校は、どんなところなのか。
それを見極めることが最も重要です。
ある先輩保護者の方は、興味をひかれる学校の説明会に行ったとき、一回目で校長の話に魅力を感じたといいます。
そして、二回目に訪問したときに個別相談でたまたま教頭と話す機会があり、そこでも教頭が一つひとつの質問に
真摯に応えてくれる姿勢に感銘を受けて、第1志望校に決めたのだそうです。
このように、志望校を決定するには「実感」することがとても大切です。
そのためにも、第1志望校だけでなく併願校も含めて、受験する可能性がある学校には、必ずお出かけください。
女子聖学院の校長先生も、「あらゆる私学には、それぞれに魅力があります。
ただ、その魅力というのは、本校も含め、学校案内やホームページを見るだけではなかなか伝わってこないと思います。
学校に実際に行ってみてこそ、はじめて感じることができるものだと思います。
本校に限らず、志望される学校にはぜひ何度か足を運んでいただき、実際の生徒の様子、先生の様子、
そしてその学校の”空気”に、ぜひ触れてみてください。」と話します。
学校に行かれたら、在校生や先生方にどんどん話しかけてください。
ほんのささいなことでも、大きな発見につながることがあります。
<お子さまの6年間とその先を想像できるか>
学校選びで大切なポイントといえば、学校の教育方針やカリキュラムなど、お子さまの進路に直結するものは当然ですが、
まだまだたくさんあります。
たとえば、お子さまが入りたい部活はあるか、それが強豪の体育会系だった場合、お子さまが活躍する余地はあるか。
たとえば、文化祭などの行事運営は生徒主体で行っているか学校主体か。
たとえば、施設や設備は、新しくはなくても大切に使われているか。
トイレやロッカーなどは清潔か。グラウンドやプールはあるか。
また、大学進学については実績だけではなくプロセスはどうなっているか。
進路相談だけではなく、補習や講習など大学進学に向けたサポートは充実しているか。
海外研修など、高額なものは希望制か全員必修か。
……などなど、ご家庭によって重きをおく部分は異なるかもしれませんが、さまざまな情報を集め、それを線でつないでいくと、
実際の学校像がはっきりしてきます。
そして、ご家庭の希望に合うかどうかも明らかになってくると思います。
<学校を訪ねたら、ココをチェック!>
学校に行って何を確認すればいいのか、ここで整理しておきます。
学校に何を求めるかで、ご家庭ごとにチェックすることは変わってくると思いますが、基本的な例を下に記しました。
ご家庭で話し合い、最低限チェックするべきポイントを絞っておかれるといいでしょう。
そして、学校訪問を終えたら、必ずポイントと感想をメモに残してください。
それが、志望校決定の際の大きな決め手になります。
・実際の通学時間・経路は、ご家庭が考える範囲内か
・学校周辺の環境は健全か
・ご家庭の教育方針と学校の教育理念は一致しているか
・教育理念、また新たな改革について具体的な説明があったか
・先生方の雰囲気や熱意はどうか
・施設や設備は、ていねいに使われているか
・学習と部活や、その他の活動の両立はどうなっているか
・在校生の姿に、お子さまを自然に重ね合わせられたか
・ほかの保護者や在校生の保護者と、ご家庭の雰囲気は合うか……など