【中学入試速報】首都圏で倍率が上がったのはここだ!

 

中学受験では、大学付属校の人気が高まっているという。今春の中学入試で志願者数が増えた学校はどこか? 中学受験情報誌「カンペキ中学受験2018」(朝日新聞出版)より、首都圏の私立中学受験の最新傾向をお伝えする。

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 首都圏中学模試センターによると、2017年の首都圏の中学受験率は15.12%で、前年比0.44ポイントの微増だった。中学受験生数も4万4150人で450人増加した。3年連続の増加で、リーマンショック以降の落ち込みが回復傾向にある。その中で、特に大学付属校、共学校の勢いが目立った。

 大学付属校が人気の理由を、サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明さんは次のように話す。

「先行きが見えない大学入試改革の影響から、付属校に入れば安心だという見方があります。しかし、それ以上に保護者が付属校の教育内容を高く評価しています。付属校では受験勉強にとらわれない分、教養教育やICT、アクティブラーニングなどに力を入れています。また、大学間の競争が厳しくなり、学園全体で連携を強化しようと、大学が付属中高に力を入れるようになりました。大学の教員が高校で出張講義をしたり、高校生が大学の授業を聴講したりするなど、交流が進んでいます」

 早稲田大の系列では、早稲田、早稲田大高等学院が人気だ。特に早稲田は、ここ数年東大に30人ほど合格しており、進学校としての評価も高い。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)系も堅調に推移している。さらに日本大系の日本大第二や日本大第三、東洋大系の東洋大京北なども伸びており、特に女子の志願者増が目立つ。

 理系人気は底堅く、芝浦工業大、工学院大、東京都市大、東京電機大の付属校も多くの志願者を集めている。青山学院、成城学園、日本大第二は校舎を新築したことも人気につながった。

 大学の系属校で、人気が上昇した学校もある。横浜英和女学院は16年に青山学院の系属校となり、青山学院横浜英和に校名を変更。18年からは共学化の予定で、さらに人気になりそうだ。

 

 

 また、今の小学生の保護者世代は海外勤務の経験がある親も多く、グローバル教育の必要性を実感している。グローバル教育を前面に打ち出した三田国際学園、かえつ有明、開智日本橋学園は保護者に評価され、前年に引き続き志願者を集めた。特に広尾学園は、ほとんどの入試回で志願者が増加し、合計4千人(帰国生入試を含む)を超えた。難度もアップしている。

 男子進学校は、前年度の大学合格実績が人気に反映される傾向がある。16年に東大合格者が増えた栄光学園、逗子開成、桐朋、麻布などは志願者が増えた。麻布の増加の理由について、広野さんは次のように言う。

「もともと麻布は放任主義でしたが、今では低学年ではまめに小テストを実施するなど、非常に面倒見がよくなっています。現役合格率も上がっており、保護者の評価も高まっているようです」

 共学校でも、東大合格実績が伸びた渋谷教育学園幕張、栄東、開智の志願者が増加した。

 一方、女子校は、隔年減少で増減が繰り返されるケースが多い。ただし最近は女子の人気が共学校へ傾いており、苦戦している。その理由を広野さんはこう分析する。

「理系人気は女子も同様で、理系志向の女子は実績をあげている共学校の方へ目が向いてしまいがちです。女子校は、理系に強いというイメージがないと厳しいですね」

 そんな中、立教女学院、鎌倉女学院、横浜共立学園などは志願者を増やした。

 地方の学校の出張入試も好調だ。長野の佐久長聖は、東京会場で2200人以上の志願者を集めた。札幌にある北嶺は小規模ながら、医学部合格実績が好調。手厚い学習支援が評価され、寮に入って難関大を目指す「青雲寮コース」が人気だ。首都圏や関西圏から入寮を希望する生徒が増えている。

 

アエラ

2017.6.29